ARTIST

*参考作品画像
Hogalee
Hogaleeの作品は壁画がよく似合う。ビルや空間の壁面にダイナミックに描かれる女性の姿は都会的で溌溂とした雰囲気を纏っており、場の空気を一変させてしまう力強さを持っている。その女性が平凡な大多数のうちの一人ではなく、特別な女性として華やかさと求心力をもって描かれているのは明らかだ。
表現の根底にあるのは漫画だという。大学時代に友人たちと始めた自費出版の漫画雑誌『mashcomix』でHogalee自身も漫画を連載し、これが話題を呼んだことで大学卒業後すぐは、広告など商業的なイラスト制作を主に行っていた。現在、女性が太いアウトラインによって描かれているのも、漫画の描き方を踏襲した表現だ。同じく漫画をモチーフにしたロイ・リキテンスタインの作品にも影響を受けているといい、大衆文化を時代性と捉えて表現するスタンスはHogaleeにも共通している。
Hogaleeが20年近く大きく作風を変えることなく繰り返し描くのは、時代を映すアイコンとしての女神像だ。彼女たちはHogaleeの理想の女性像が多分に投影され、ある意味で男性目線の「可愛さ」を軸に描かれているのだが、それは従来の日本のポップカルチャーにおいて女性たちが担ってきた少女趣味の幼稚さやか弱さ、性的ないやらしさといったものではなく、おしゃれで健康的で自立したものとして表現されている。多くの場合、女性は「見られる側」を社会のなかで強いられる存在であり、作品もまた「鑑賞される側」として制作されるのだが、Hogaleeが意図的にカメラ目線で描く巨大な壁画は、それ自体が社会を悠々と眺めているようであり、作品と鑑賞者の間にある絶対的な関係性を反転させる面白さがある。(©︎kutsuna miwa)
1975年、神奈川生まれ。1995年、東京芸術大学 美術学部 デザイン科入学。2001年、東京芸術大学大学院 美術研究科 デザイン専攻 修士課程修了。
現代を映す鏡として女性『girl / オンナノコ』をモチーフにコミック描写の線画にて記号化したものを描き続けている。
美人画などで美を表すものとして描かれる女性像をテーマに、現代アートやカルチャーの文脈をレイヤーにしたキャンバス作品や、キャンバスという枠を超えた支持体として空間描画(壁画)をアクリルペイントやマスキングテープ自体での描画などで制作している。
近年の個展に「Masking/Fixing」(Gallery OUT of PLACE、2019)、「Snapshot」(Gallery HIROUMI、2017)、グループ展に「コントロールX:切り取りの制御」(ソノ アイダ #新有楽町、2022)、「mt art project at BankART KAIKO」(BankART KAIKO、2021)、「東京ビエンナーレ2021/2022」(大手町ファーストスクエア、神田小川町宝ビル、2021)などがある。